ベルリン・ヘルムホルツ・センターとベルリン工科大学の科学者たちは、次世代リチウム硫黄電池の開発において大きな進歩を遂げました。彼らは、長らくリチウム硫黄電池の商業化と量産化を阻んできた主要な課題を解決しました。この進歩は、より高容量で安全かつ耐久性の高い電池への道を開くものです。
著者らは、ラジカルカチオン共有結合性有機構造体(COF)と呼ばれる独自の多孔質ポリマーの作製に成功しました。このCOFは、リチウム硫黄電池内で高活性触媒として機能し、有害な副産物を捕捉して有用な硫黄へと変換します。
このクラスの材料には、急速な劣化と容量低下につながる可能性のある多硫化物が含まれます。この新材料の主成分は、テトラチアフルバレン(TTF)をベースとしたラジカル分子です。これらの分子は不対電子を有し、システム全体の触媒活性と電気伝導性を向上させます。
結果は目覚ましいものでした。この新素材を用いた電池は、容量損失を最小限に抑えながら(1サイクルあたりわずか0.027%)、1500回以上のサイクルに耐えることができます。これは、これまでリチウム硫黄電池では達成できなかった性能であり、この技術は将来のエネルギー用途において非常に有望です。